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自律神経と神経伝達物質をわかりやすく!【節前線維・節後線維・受容体】

生理学
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自律神経の伝達の仕方ってなかなか覚えにくいですよね。

神経伝達物質や受容体の種類がいろいろあると思えば、節前繊維と節後線維とがあって、節前と節後で伝達物質が違ったりする(そもそもなんで一回「節」挟むねん!)…。

今回は主に自律神経の神経伝達のしかたを図にすっきりまとめてみました。

いやどこがすっきりやねん!登場人物多すぎか!

神経伝達物質で4種類、受容体も4種類となるとそれだけでイヤな気持ちになりますよね汗

一気に見ても大変なので、まずは受容体について見ていきましょう。

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自律神経における各受容体(ニコチン受容体・ムスカリン受容体・α/β受容体)

神経伝達物質の受け入れ役である受容体を一つ一つ見ていきましょう。

ニコチン受容体(図では紫)

ニコチン受容体は、「せつ」が付くところに存在するよ!

いやどういうこと?

ニコチン受容体は、本来は「ニコチン性アセチルコリン受容体」と呼ばれ、アセチルコリンも結合しますが、ニコチンも結合することからこう呼ばれています。

このニコチン受容体が存在している場所ですが、せつ」が付く場所、つまり「神経『節』」「神経筋『接』合部」に存在しています。

ただし、例外として「せつ」はつかないですが副腎髄質にもニコチン受容体が存在します。

神経節および副腎髄質にあるものをNn, 神経筋接合部にあるものをNmと表記します。

どちらにせよNaイオンチャネル型受容体であり、Naチャネルが開口することで脱分極を起こすという仕組みで伝達が行われます。

ムスカリン受容体(図では緑)

ムスカリン受容体は、副交感神経系で作用を受ける受容体で、これも本来は「ムスカリン性アセチルコリン受容体」と呼ばれます(ただし例外的に汗腺は交感神経支配だがムスカリン受容体あり)。

つまりニコチン受容体もムスカリン受容体もアセチルコリン受容体なわけですね。

ムスカリン受容体はさまざまな臓器に存在していますが、場所に応じてムスカリン受容体にも3つのサブタイプ(M1, M2, M3)があります。

ムスカリン受容体はGタンパク共役型受容体であり、Gタンパクが受容体の刺激を細胞内に伝達するためのスイッチとして働く、という伝達系をとります。

GタンパクにもGqやGsといった種類がありますが、細かい種類について話すと話題がそれてしまうのでここでは割愛しましょう。

α/β受容体(図では赤orオレンジ)=アドレナリン受容体

アドレナリン受容体は、大きくα受容体とβ受容体に分けられます。

交感神経系において効果器で神経伝達物質が結合するのがこのアドレナリン受容体です。

α受容体もβ受容体もGタンパク共役型受容体ですが、α受容体にはα1とα2のサブタイプ、β受容体にはβ1~β3のサブタイプがあり、情報伝達系もそれぞれ異なっています。

ここでもやはりGタンパクの種類(GqやGs)が出てきますが、これも細かいので省きます。

*ドパミン受容体は自律神経の受容体としては上で挙げたものほど重要ではないので、「そんなものもあるんだ」くらいで大丈夫です。

交感神経系の神経伝達

各受容体の特徴を踏まえた上で、交感神経系の神経伝達の流れを見ていきましょう。

①神経節において節前線維からアセチルコリンが放出される。                     

②アセチルコリンが節後線維の細胞体にあるニコチン受容体に作用する(活動電位が起こる)。

③節後ニューロンからノルアドレナリンが放出される。                 

④効果器のアドレナリン受容体(α/β受容体)に作用する。                                              

(※前述の通り、汗腺は交感神経系だが例外的にムスカリン受容体でアセチルコリンを受け取ります)

節前から節後で神経伝達物質がアセチルコリン➡ノルアドレナリンと変わっているのがポイントです。

交感神経だと、効果器ではアドレナリン受容体に結合するわけだから神経伝達物質はアドレナリン!と言いたいところですが、アドレナリンではなくその前駆物質であるノルアドレナリンなので注意しましょう。

副交感神経系の神経伝達

①神経節において節前線維からアセチルコリンが放出される。                     

②アセチルコリンが節後線維の細胞体にあるニコチン受容体に作用する(活動電位が起こる)。

(ここまでは交感神経系と同じ!)

③節後線維からアセチルコリンが放出される。                     

④効果器のムスカリン受容体に作用する。                                                                                 

交感神経と異なるポイントは、

神経伝達物質が節前も節後もアセチルコリンであること(だったら節すっとばしちゃってよくね…とか思いたくなりますが神経節の存在意義を考えると深みにハマりそうなのでここはスルーしておきましょう)

効果器で伝達を受ける受容体がムスカリン受容体であること(節➡効果器の神経伝達物質が交感神経系と違うわけなので当然ですね)

といったところです。

ここで一旦神経伝達物質に注目してみると、基本的にはアセチルコリンだけど交感神経の節後線維から放出されるところだけノルアドレナリンになっていることが分かります。
神経伝達物質はうっかり忘れやすいところで、ノルアドレナリンが出るのは交感?副交感?節前?節後?と混乱しがちなので、「交感の節後はノルアドレナリン」と記憶に刻み込みましょう。

タイヤを交換(交感)した後(節後)に車に乗る(ノルアドレナリン)みたいな覚え方でどうでしょう。

副腎髄質の神経伝達

ここまで交感神経系と副交感神経系について見てきましたが、副腎髄質という特殊な「節後線維」について見ていきましょう。

臓器自体が節後線維と言われるとなんだか不思議な気分になりますが、交感神経系において節前線維から放出されたアセチルコリンは、副腎髄質のニコチン受容体にも結合します

そして、副腎髄質からアドレナリンやノルアドレナリンを血中に分泌し(分泌されるうち8割はアドレナリン)、心筋や血管といった効果器のアドレナリン受容体に作用します。

副腎髄質…。トリッキーなことせんといてや!

副腎髄質ならではのポイントとしては、節後線維がない(あるいは副腎髄質そのものが節後線維とも捉えられる)点や、アドレナリンが血中に分泌される点が挙げられます。

この副腎髄質の役割の理解は、褐色細胞腫という内分泌疾患を理解するうえで非常に重要になってきます。

まとめ

要点だけ簡単にまとめると、

ニコチン受容体は神経節・神経筋接合部・副腎髄質に存在
ムスカリン受容体は副交感神経の伝達において効果器でアセチルコリンと結合する
アドレナリン受容体にはα受容体とβ受容体があり、交感神経系の伝達において効果器でノルアドレナリンorアドレナリンと結合する
・自律神経の神経伝達物質は、交感神経節後はノルアドレナリン、副腎髄質からの血中分泌が主にアドレナリンで、それ以外はアセチルコリン
といったところです。
神経の分類といったさらに基礎的な内容については↓の記事で解説しているのでそちらもぜひご覧ください。

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