内視鏡を使った治療や検査にはENBDやERCPなどがありますが、どれも似たような名前なので慣れないうちは混同してしまいますよね。
そこで、いっそ似てるものはここに並べてはっきり区別してやろうというのがこの記事のテーマになります。
「BD」=胆道ドレナージ系(ENBD・ERBD)
まずは胆道ドレナージ系をみていきますが、胆道ドレナージを行うためにはまず十二指腸乳頭開口部を広げておく必要があります。
そこで、EST(内視鏡的乳頭括約筋切開術)またはEPBD(内視鏡的乳頭バルーン拡張術)を行い、十二指腸乳頭の開口部を広げます。
胆道ドレナージの方法ですが、「鼻から排出」または「十二指腸へ排出」の2パターンがあります。
ENBD(内視鏡的経鼻胆道ドレナージ)
Endoscopic nasobiliary drainageの略ですが、その名の通り、鼻からドレナージを行います。
総胆管結石や胆管炎で閉塞性黄疸をきたしたときに行う治療です。
胆汁の性状や量を把握できる・チューブの取り外しが簡単・胆管の造影が可能、といったメリットがあります。
ERBD(内視鏡的逆行性胆道ドレナージ)
endoscopic retrograde biliary drainageの略です。
異物などにより、胆汁の出口が狭くなっている場合に、内視鏡を用いてドレナージチューブを胆管に挿入したあと留置し、胆汁の流れを維持する治療です。
ENBDと違って、鼻からではなく十二指腸へと排出するので、こちらの方が生理的なルートという感じがあります。
「GBD」=胆嚢ドレナージ系
次は胆「嚢」ドレナージです。
PTGBD(経皮経肝胆嚢ドレナージ)
percutaneous transhepatic gallbladder drainageの略です。
これは頭に「E」がつかないことからも分かる通り、内視鏡的に留置するものではなく、右肋間の皮膚から、肝臓を経由して胆囊を穿刺し、胆囊内にドレーンを留置する治療です。
主な適応は急性胆嚢炎ですが、閉塞性黄疸でも適応となることがあります。
造影検査
ERCP(内視鏡的逆行性胆道膵管造影)
endoscopic retrograde cholangiopancreatographyの略です。
口から十二指腸まで内視鏡を入れ、その先端から膵管・胆管の中にカテーテルを挿入します。
カテーテルから造影剤を入れることで、膵管や胆管のX線写真をとるというのが目的の一つです。
また、ERCPで膵液や胆汁、病変部の組織や細胞を検査に回すこともあります。
最も高頻度に見られる合併症として急性膵炎があり、重症化することもあるため、膵炎の患者へのERCP施行は禁忌とされています。
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